かわむらの
日々
帯合わせ
付下げ 鷺
週末ともなると、富士山周辺を観光していると思しき人々が多く見られます。今年は季節外れとも言えるような暖かい日が続いているので、街歩きをする方々にとっては過ごしやすくて都合が良いでしょうね。
呉服屋のような商売の者にとっては、あまりにその季節と違う気候というのは歓迎できないものです。寒い時には寒い時の、暑い時にはそれなりの装いというものがありますしね。調子が狂ってしまうものです。
そんなことをぼやいているうち、出入業者としてお世話になっている富士山本宮浅間大社から、お正月に使う品々の注文が来ました。この注文が入ると流石に年の瀬の雰囲気を感じます。泣いても笑ってもあと何日と数えられるところまで、今年も来てしまいましたね。
そんな年の瀬に、新しく染仕事が上がってきました。
水辺に遊ぶ鷺の姿を手描き友禅で表した付下げ。制作はフジモトです。
琳派に見られるような意匠化された軽やかな表現。生き物、特に鳥類を題材にする時にはその表現法が問われます。真に迫る精緻な表現が必ずしも人の心をとらえてくれるばかりではなく、逆に敬遠されることも多いものです。最終的には好みの問題になりますが、こういった線での優美な表現に粋さを感じますね。抑えめな色使いも上品です。
同じくフジモト制作の塩瀬染帯「松に雨」を合わせてみました。琳派の意匠、水のイメージでまとめています。こちらの付下げ、単衣での着用も視野に入れて作りました。幅広い場面で楽しんでいただきたい一品です。