かわむらの
日々

帯合わせ

秋の風

今日から九月。台風の影響で月のはじめから店を休まないといけないかなと思っていましたが、予想よりもルートが変わって思いもかけぬ晴天です。まだまだ油断はできないと放送では言いますが、とりあえずはありがたいことだと思いながら店を開けております。

暑さの方もあまり変化はないようで、本格的に着物を楽しむにはもう少しかかりそうです。せめて目にだけでも次の季節のものをお見せするのが専門店の役割と考え、今日はこんなコーディネートをお届けします。

金描きと無線友禅で風に揺れる笹竹の様子を描いた付下げに、全て刺繍で吹き寄せを表した九寸名古屋帯。季節を問わず緑を失わないことで通年文様とされる竹ですが、風に舞う落ち葉を表すことで代表的な秋文様と言われる吹き寄せと合わせることで、秋の風を感じるコーディネートにしてみました。

細やかな描き味が特色。当店はこの感覚がとても好きです。色の描き分けでより幅広い季節に対応しているところが作り手の工夫ですね。制作はフジモトです。

存在感のある京繍いは村山刺繍店。繊細な仕事の跡が見て取れます。

ハラ文。

これを記している合間に外へ出たら、湿気を含んだ暑さがさらに強まっていることに驚かされました。日本の四季のうち、春と秋を感じる機会が少なくなってきていると言われますが、だからこそ楽しみたいものです。秋の空気、秋刀魚、松茸。もちろん着物も。

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