かわむらの
日々
富士山と三保の松原
当地富士宮は言わずと知れた富士山麓の町でして、市内のあちこちから富士山が望めます。うちの商店街駐車場から見える富士もなかなかのもので、他所から来たらしき人々がスマホカメラを構えている姿をよく目にします。
今日のお姿。テレビなどでもよく言われているように、今年はなかなか雪が積もりません。今一つこの季節らしさを感じられない状態のままになってしまっています。まあしかし、「晴れて良し、曇りても良し」と言われる山ですから、あるがままのお姿をありがたく拝ましてもらうことにしましょう。
もうひとつ、富士山のお話。ひと口に富士山と言っても、見る角度の違いでその姿は大きく違って見えます。当地から見る富士山の特徴は、まず向かって右の中腹に宝永噴火で出来た宝永山が見えること。それから全体的に窪みなどが目立たず、女性的とも評されるような優美さがある点です。
ぐるっと反対側の富士吉田辺りから見る富士は、近さもあるのか迫りくるような雄々しさがあるように感じますし、御殿場辺りから見ると宝永山の窪みが見えてまた違う雰囲気です。同じ富士宮市内でも朝霧高原の方まで行けば全く違うお姿ですしね。麓の住民あるあるとして、顔を合わすと自分のところから見る富士山自慢合戦みたいなものが始まるなどと言われます。
羽衣の松で有名な三保の松原。ここから見る富士山の美しさは古来から賞賛され、世界遺産にも含まれることになったのは記憶に新しいですね。実はここから見える富士山は富士宮(の私たちが居住している地域)から見る角度に近いのです。どの富士も魅力的なことに変わりはないのですが、皆が容易に思い浮かぶことが出来る有名なスポットと同じ姿を日々拝してるということは、おらが町富士山自慢合戦でマウントを取るのに重要なポイントだと、富士宮市民の一部は考えているものです。
そこで、今日はこんな組み合わせを紹介します。
富士山の姿を織り出した博多織の袋帯を海賦文様の付下げにのせて、「富士と三保の松原」に見立てました。
2月23日の「富士山の日」で紹介すれば良いのでしょうが、そういう記念日には忘れてしまいがちなので、思い立った今日にアップしてみます。色の感覚的にも合っているので、なかなか良くまとまった組み合わせだと思います。
むしろ問題なのは、この富士が富士宮~清水ラインから見える角度のものかということですね。向かって右の稜線が宝永山のように盛り上がっていきそうな様子を見せてるように見えなくもない…いや、間違いなくこれは宝永山を抱えた富士宮側からの富士山でしょう。そう信じましょう!
付下げは醒ヶ井さん制作の手描き友禅。帯の製造元は失念してしまいましたが、柔らかな風合いの良い織です。ともにセミフォーマルシーンに相応しい作りの良さで、そういった点からもおすすめです。