かわむらの
日々
新粋染浴衣
今や夏の定番となった浴衣ですが、その年の柄を選ぶことは実は年明けすぐに行われています。当店の扱う浴衣で最も比重が高いのは東京日本橋人形町の新粋染さんで、今や数少なくなった東京本染のメーカーですが、毎年一月の第一週には注文取りに来店します。同社の方でも一年で一番早い受注が当店だそうで、それは単に地理的な理由からでしょうが、何だか光栄なことだと感じておりました。
しかし、今年は東京都に緊急事態宣言が発令されました。年始の風物詩となった浴衣の柄選びはどうするのだろうと思っていましたが、人は来ずに柄見本だけが送られてくるということで解決しました。早速柄選びです。
洋服の世界でも同様だと思いますが、夏の衣装を真冬に選ぶに当たっては気をつけなければいけないことがあります。言うまでもなく、季節の違いですよね。頭の中を夏仕様にして選ばなければ、実際のシーズンを迎えた時には暑苦しく感じる色柄を選んでしまうという失敗をすることも。最近ではそんなこともなくなってきましたが、過去には一月の自分を恨めしく思ったことも度々ありました。
今年はコロナという要因も絡んでくるので、そこも読みづらいですよね。昨年は注文した後にコロナ禍が押し寄せ、今年は駄目なんだろうなと諦めていましたが、意外にも浴衣や綿、麻織物への引き合いが強くて驚いたものでした。結果的に浴衣の持ち越し在庫はここ数年で最も少ないです。わからないものです。
浴衣は確かに季節商品ではあるのですが、新粋染さんのような本格的な仕事は逆に先へ行って出来なくなるものもあるようです。技術と伝統の継承に微力ではありますが貢献すべく、今年も選ばせていただきます。
京都や浜松など他産地からもまた声がかかるでしょう。納品はゴールデンウィーク頃になると思いますが、今年もご期待ください。