かわむらの
日々

帯合わせ

本糸目友禅の波文様

ご覧になった方もいるかと思いますが、昨日、サンドイッチマンと芦田愛菜ちゃんの出ている博士ちゃんという番組を見ていたところ、着物が大好きな着物博士として14歳の女の子が出てきました。

スタジオにいる出演者の人たちに「どれが最も高額な着物か」というクイズを出して、三点の振袖が出されていたのですが、一点はインクジェット、一点は手描き友禅、最後の一点が絞りです。加工の重さから言って絞りが最も高いのは一目瞭然ですが、その価格が

絞りが3000万、手描きが300万、そしてインクジェットが32万とのことでした。確かにあの絞りくらいの加工になると一点物でしょうから、値段も相当になるのは分かるのですが、それにしてもなあと。まあ、飽くまで参考価格として見ていただきたいなと思いました。それよりも、14歳くらいのお年で着物大好きと言ってくれる人がいることに頼もしさを覚えましたね。

番組ではもう一問出されて、袋帯の高額品を当てるものでした。本袋に織られたものが100万で最も高いということで、まあそれも参考価格と認識いただければと思いますが、当店の4代目を予定されている11歳の長男が2問とも正解しまして(ヒントなしです)、それもちょっと頼もしいなあなんて感じたわけです。親バカですみません。

当店で手描きや総絞りのものをお求めくださった方々が見ていてくれたらいいな、世の中ではあんな値段と言われてますよと教えたく、この場で取り上げさせていただきました。価値のある加工、技術を次の世代に伝えるためにも、適正価格で提供するための努力を惜しんではならないと改めて思う機会にもなりました。

さて、当店の品も見ていただきたいです。

フジモトからの一品、波文様の付下げです。帯は丹後の二重紗九寸帯。

フジモトさんは真糊を用いた糊糸目友禅にこだわりを持って制作しています。ゴム糊を用いた糸目に比べて、繊細で柔らかな線の表現が特徴になりますね。これはそんな糊糸目の特徴がよく表れた一品だと思います。繊細さはイコール扱い難さです。これほど上手く糸目を引ける職人さんも非常に少なくなりました。書き遅れましたが、完全に透けるわけではない薄物に織り上げてあり、単衣から夏にかけて着ていただける付下げです。

この二重紗九寸帯も面白いですよ。白のまま楽しんでいただいて、気分が変わったら色染してもらうのも良いです。丹後産地も色々面白いものを上げてきてくれますね。

先にも書きましたが、価値があるものをお求め易く、かつ着る楽しみを含めて提案することが、次の世代への継承にも繋がると考えております。小さな店の小さな努力ですが、塵も積もればなんとやらの精神で頑張りますね。

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