かわむらの
日々
金彩更紗小紋に帯を合わせてみる
今日は全国的に大雨の予報でしたが、私がこの画面に向かっている午後1時現在、富士宮市は正にその真っ只中と言った感じです。こんな日には来店される方も少ないだろうと、品物を出してはコーディネート遊びに精を出しております。
フジモト制作のこの小紋、滋賀県浅井町で細々と織られている郷野紬を染下地に、摺金で更紗文様を表した一品です。こういった紬ちりめん的な生地を採用する際、以前のフジモトさんでは小千谷紬の地をよく使っていましたが、ここ数年はこの郷野紬を選択することが圧倒的に多くなりました。極細で打ち込みの多いしなやかな地風が、友禅の仕上がりに非常に適しているようです。発色の美しさ+節糸の味わいが良いですね。
帯合わせですが、まずは同じくフジモト制作の九寸名古屋帯で。薄物に織った小千谷紬に市松の染め分け。正に当店に向けて制作された一品です。同色系ですし、小紋が細かい連続柄なので、スパッと大きい染め分け柄でバランスを取りました。しゃれ味の強い組み合わせになりますね。
次は十日町西川織物の九寸名古屋帯。前の一品とは逆に、似たような動きの文様を敢えて合わせました。好みは分かれるでしょうが、有りじゃないでしょうか。絞りと型染で様々な柄を表したこのシリーズ、もう止めてしまったようです。比較的手頃な価格で面白いものがあって、多くの方に喜んでいただいていたのですけれどね。残念です。
最後は、合わないわけがないだろうと言う突っ込みが来るのを覚悟で、杉村のすくい織九寸帯です。この色目で縞ですからね。ただ、帯地全体の光沢が小紋に施された金彩加工の錆びた感覚と良い対比で、見ていて安心感のある組み合わせだなと感じるのですよね。でも、まあ、縞ですからね。合わないわけがないですよね。
今回はカジュアルな帯ばかり選択しましたが、堅い感覚を合わせればそれなりの顔つきになる小紋です。相方の違いによって色々な表情を見せるということは、今の時代の着物として大きなポイントだったりしますね。おすすめです。