かわむらの
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西陣帯 消え行く個性派

こちらは西陣藤原織物の七五三向き帯

織物としての質が高く、当店でも重宝させてもらっていましたが、このほど製織を止められるそうです。七五三はレンタルが圧倒的に増え、高級品を新調する方は全体から見れば加速度的に少なくなってきているのでしょう。

当店のような店にはまだ質の良いものを求めて来られる方も確実にいらっしゃるのですが、ある程度の規模の織屋さんが製作を継続していけるほどの数ではないということなのでしょうね。非常に残念です。

奮闘してくれている作り手さんがいる一方、様々な理由から残念ながら止めていくところも多くなっています。工業的な側面も強い帯の世界では新規参入は見込みにくいでしょうし、今後も減少の一途を辿ることは避けられないでしょう。

こちらは貴秀螺鈿の袋帯。螺鈿を貼り付けるのではなく、特殊技法で裁断して引箔のように織り込んでいく製織法が特徴でしたが、やはり既に止められています。ちょうど止めるという時に当時取引があった問屋から連絡をもらい、まとまった本数を仕入れました。なかでもステンドグラスのような趣のあるこの一品を最も面白いと思っていましたが、最後の一品として未だに在庫中です。

東宮織物の袋帯。とてもバタ臭い顔つきですが、江戸期の小袖にある唐草文様に取材した表現だそうです。クセが強そうに見えて意外なほどにあらゆる柄に合う帯なんです。これまで色違いやタイプ違いを買っていただいたお客様からは、同様に好評をいただいてきました。軽く柔らかい風合いも魅力。残念ながら東宮さんも止められてしまいました。

上記したように、個性派の織物に出会える機会は今後ますます少なくなっていくのでしょう。出来る限り抗って探していくつもりではいますけどね。こういうことを書いていると寂しくなってくるので、まだ紹介したい品もあるのですが今日はこの辺りにしておきます。お付き合い頂きありがとうございました。

 

 

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