かわむらの
日々
帯合わせ
「月の砂漠」に帯合わせ
残暑と秋の風が行ったり来たりしているような陽気が続きますね。朝、外の方に耳を傾けると、秋の虫と蝉の声が一緒に聴こえてきたりします。この時期ならではの現象ですが、賑やかなはずの蝉の声の方が悲しげに響くような気がしてしまいますね。さよなら夏の日。あまり楽しめなかったけど。
さて、今日はこんな一品を取り上げてみます。
型染と縫締め絞りで「月の砂漠」を表現した紬。絵羽柄になっていることから紬訪問着と分類されたりもしますが、当店では文様を楽しむ洒落物と考えています。これに帯をのせてみますね。
まずは塩瀬の染帯です。制作はフジモト。吹雪加工を多用した献上文様が、裾の砂漠を表現した部分と似た感覚を持つことから選んでみました。色目も通ずるものがあります。
同じくフジモトから、小千谷紬地に染め分けの市松文。具象的な文様でなければ色の感覚で合わせられるという例ですね。
博多西村織物の八寸帯。エキゾチックな顔つきの正倉院文様です。茶系を中心とした色使いも合いますね。
ここからは袋帯で。明つづれの唐花文。唐草とか唐花の歴史は古く、古代エジプトでも確認され、全世界に伝播し親しまれています。日本でも古くから使われていますから、和柄にも相性が良いですよね。もちろん、こういったエキゾチックな柄にもですね。
梅垣織物の紋紗布目文。具象的でない同系色ということで、この一枚に合うことは間違いないです。写真では上手く写せていませんが、単純な表現に見えて味わい深い帯ですよ。
最後はちょっとネタ的に。先日も取り上げたフジモトの丸文をのせて「月の砂漠に更に月」
やっていけない訳ではないですが、やっぱりクドイでしょうね。