かわむらの
日々

着物

秋の気配

先日、山梨県のお客様のところへ出張してきました。各シーズンに一度ずつくらいのペースでお伺いしているのですが、その度に道中の景色の移り変わりを楽しませてもらっています。

まあ、今回は秋と言えどもまだまだ夏に近い気温ですし、紅葉などは期待できないことは分かっておりました。しかし、高い山々の上の方は微かに色づいてきている感もあり、出来上がり品をお届けに上がる時の楽しみが出来て良かったです。

天気予報を見ていると、この先に季節は急転換すると言われていますね。夏からいきなり冬になるような転換の仕方だとか。年々そうなってきているように感じますが、日本の四季が無くなる方向に向かっているようですね。中でも特に秋を感じられる期間が少なくなっているような…。

猛烈な暑さが去って風にも涼しさを感じ、色づいていく木々に目を楽しませる。暑がりの寒がりで花粉症持ちの私にとっては、秋は楽しみが最も多い季節です。食べ物を含めて。その秋が短くなっていくことは由々しき問題なんです。なにより夏からいきなり冬では体が付いていかないですよね。

秋の充実を願いまして、今日はこんな柄を取り上げてみます。

慶長小袖調の色合いで上げた小紋。醒ヶ井さんからかなり前に入れたものの一つです。

他の季節の草花も入ってはいるのですが、秋のものが最も前面に出る形で表されているので、秋向きな一品として紹介します。いま見てみるとボリューム感があって、存在感のある小紋ですね。最近なかなかこういった感覚を作りません。

コロナの影響もあり、ものづくりの現場の疲弊は深刻さを増しているようですが、そこは「秋の気配」を感じることなく私たちが盛り上げていかなければと思う今日この頃です。緊急事態宣言も解除されましたしね。質の高い仕事を続けていただけるように頑張らなければ。「豊穣の秋」を目指して。

 

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