かわむらの
日々

帯合わせ

村山刺繍店付下げ 截金文様

12月も真ん中に近くなり、スーパーの店頭には正月飾りや鏡餅が並ぶようになってきました。で、店内に入ると聴こえてくるのはクリスマスソング。和洋折衷と言いますか、日本の年末特有のこの混沌とした感じ、私は嫌いではありません。クリスマスが終わると店内放送もお琴へとドラスティックに変わり、この急転回も割合に好きです。楽しみは多い方が良い、基本的にはそう思いながら暮らしております。

当店の年末恒例行事は、作り手さんたちの最後の訪問を受けることです。仕込んであったものの上がりがこの時期になるところもあり、決算処分で訪れるところもあります。数日前に村山刺繍店さんが新作を持って来訪したので、数点選びました。今日はそのうちの一点を取り上げてみます。

付下げ、横段暈しに截金です。

幾何学的な截金文様は何となく今の季節を連想させますが、当店の一員になった理由はそこではありません。

村山刺繍さんでは京友禅の技全体の継承を目指していますが、当然ながらその中心は看板でもある刺繍になります。截金という文様表現はその目指すところを表すのに相応しいのではないでしょうかね。金彩加工と繍いの繊細な表現が本当に美しいと思いますし、深みのある染仕事も実に良いです。

同じテーマの袋帯をのせてみました。となみ織物の百楽シリーズからの一品、截金華文。

渋い味わいで纏まりましたね。季節や場面も問わず、幅広く楽しんでいただけるのではないでしょうか。

 

 

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