かわむらの
日々
帯合わせ
小紋「頭摺」
当店に品物を提供してくれている作り手さんたちは、その品名に対してあまり力を入れない人が多いです。例えば蟹を織り表した帯の品名がそのまま「カニ」とか。横段に暈しを入れた付下げもそのまま「横段暈し」など。
余計なお化粧せんでも実物で勝負できる、という気概の現れなんでしょう。当店もそういう心意気が割と好きです。そして、今日紹介するのもそんな一品。
フジモト制作の小紋「頭摺」です。地紋の先端部分に特注のローラーを用いて糊を置き、引き染をかけることで仕上げてあるので、その技法そのままに名前も頭摺。
優しく味わい深いこの顔つきには少しかわいそうなネーミングにも感じますが、大事なのは名前でなく実物なんですね。小紋としても色無地感覚としても着られ、また、普通の色無地とは一段違う深みのある表情が特長となる一品です。
帯合わせの提案は要らないかもしれませんが、時間があったので色々のせてみました。まずは同じフジモト制作の九寸帯「丸文」
フジモト、金銀描きの松。
フジモト、毬。
植山正織物すくい八寸帯、波涛。
植山、群遊。
植山、楽園。
見た目はほぼ色無地ですから幅広く合わせられるのは当然なんですが、帯をのせてみるとまた微妙に表情の変化があり、この一品独自の面白さを感じます。出ていける場所も硬柔自在に幅広いですし、一枚あると頼もしいアイテムだと思います。