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村山刺繍店からの新作

三年ぶりに開催された夏祭りに関わっていたこともあり、こちらでの投稿が空いてしまいました。決してコロナなどにかかっていたわけではなく、毎日元気に営業していましたのでご安心ください。

久しぶりの投稿では、前回でも取り上げた村山刺繍店さんからの新作染帯の続きを紹介します。

大きく表した雪輪取りに疋田絞りの染なごや帯。ワインレッド系の地色と併せ、かなり印象的な一品です。

この文様部分は「切りつけ」という技法が使われています。簡単に表現するとアップリケです。紋を変える時に使う「切りつけ紋」などは割と馴染みがありますが、ここまで大きく表すのは本当に珍しいですね。

高級衣料である呉服でアップリケなどと言うと、安っぽく感じてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、これが非常に難しい技法です。この一品も、言われなければ切りつけだとは全く気づかない仕上がりで、さすが村山さんと感嘆します。

(ハラ文部分)

この一品で切りつけ技法が選択された理由は、きれいに粒が揃った本疋田にあります。今ではここまで出来る職人がいなくなり、新しく作ることが出来ません。そこで贅沢にも、過去制作品から切りつけの形で転用したということです。絞り屋さんが知ったら卒倒するかもしれませんね。

日本の技術が詰まった、個性あふれる一品です。ぜひ店舗でもご一見ください。

©呉服のかわむら