かわむらの
日々
帯合わせ
十三参り向きコーディネート
最近では、当地周辺でも十三参りを行うご家庭が増えてきました。古い時代の天皇家の成人儀式に由来し、江戸期を通じて関西地方で広まった十三参り。有名なところでは京都嵐山の法輪寺があります。
ここまで無事に成長できたことに感謝の意を捧げるとともに、ご本尊の虚空蔵菩薩様より知恵をお授けいただくよう祈願するのが大きな目的となります。本来は春が正式な季節ですが、最近では秋をはじめ他の季節に行う人も増えていますね。また、虚空蔵菩薩を本尊としている寺だけでなく、馴染みのある寺社で行うなど、近年では広い解釈で行われているようです。
関西以外の地域にも広がっていった背景には、着用機会の拡大を狙った各種業界の思惑も見え隠れしますが、七五三の時とも成人式とも違う満十二歳という時期の着物姿というのは、確かに親として感慨深いものがありました。自分の経験からですが、この時の姿を見られた、そして残すことができたこと一つ取っても、確かに喜ばしいものでした。
今日はこんな組み合わせを。
千切屋(制作は岡重)の小紋に、フジモトの塩瀬染なごや帯を合わせてみました。十三参り辺りの年代を意識したコーディネートです。
やや朱色よりの濃いめの赤地に手挿しで描かれた玩具文様。相方となるのは大ぶりな若松。子供から大人に向かうちょうど中間にいる年代を意識してみました。可愛さもあり、大人びた印象もあり。
子供の成長は早く、気がついてみるとあっという間に時が過ぎてしまうものですね。思い出を残す節目というものは、なるべく多くあった方がいい。十三参りが広がっていった底にある意識というのも、良くわかるような気がします。しんみりと。