かわむらの
日々

帯合わせ

花織絽の色無地

以前にもここで紹介したことがあるのですが、また夏が近づいてきたので再度取り上げたくなった品があります。それがこちら。

絽目を花織風に織り出した伊と幸の生地に、二度引で無地に染め上げた着尺。十年くらい前に醒ヶ井さんから数色仕入れたもので、現在この色ともう一色が在庫として残っています。

この生地、この仕入れの時以来は見かけることがなく、ネット検索しても自分が知る限りにはどこにもヒットしません。以前にもここで記しましたが、実は希少品なのではないかと期待まじりに思ったりしています。

ともあれ、絽目の面白さに加え、渋みもあるとても良い色が出ています。夏のおしゃれ着からセミフォーマルまで、幅広く楽しんでいただけると思いますよ。

最近フジモトさんから入れた紗地の染九寸帯をのせてみました。共に京都産なのに何となく南の雰囲気を持つという共通点で合わせています。

こちらの帯も、地紋が文様表現に味わいを加えているのが見て取れるでしょう。落ち着いた感覚ですが、しっかり存在感がある組み合わせです。

これも以前の投稿でも記したことですが、この色無地を仕入れた時には「本当の花織ではない」ということに軽い抵抗を持ったものでした。しかし、摺り疋田などの例に見られるように、あえて違う技法で表すということは日本の染織の粋な部分と言うこともできるのではないでしょうか。

そんなことを考えながら、その希少性と併せ、ぜひおすすめしたい一品です。

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