かわむらの
日々
帯合わせ
重陽の節句
相変わらず日中は夏日を記録していますが、朝晩の空気は少し涼しさを増してきたように感じられます。気づけば今日は九月九日、重陽の節句を迎えました。
ご存知のように、この節句は菊の節句とも呼ばれます。平安の貴族の間では、古来より縁起が良いとされている奇数の中でも最大の九が重なる日ということで、大きな祝日でもあり、また重なる陽が強すぎれば逆に凶に転ずるのではと恐れられもしました。そこで、邪気を払うべく重用されたのが(重陽だけに)菊。菊は邪気を払う力がある霊草と考えられていました。この日を息災に過ごしより栄るために、菊を愛でたり菊の花を浮かべた菊酒を飲むといった風習が根付いたようです。
他の節句に比べて現代人にとっては印象の薄い日でありますが、古くから強く意識されてきた大事な日なんですね。私たちも邪気を払うべく、今日は菊を愛でることにします。
まるでこの日に合わせたかのように上がってきた一品があります。付下げ「短冊取若冲菊」 制作はフジモトです。
若冲に見られる特徴的な菊の表現を、短冊取の中で印象的に表現しました。二度引きで深みのある濃紺に仕上げた地色とのコントラストも見どころな一品です。
相方として、同じくフジモト制作の塩瀬九寸帯を選んでみました。菊の葉を伸びやかに描きあげた一品。
同じ題材を重ねるのはしつこい、粋でないと感じる方も多いと思いますが、花と葉の組み合わせだったらいかがでしょうかと提案してみたくなりました。重陽の「重ねる」ところにもかけてみて。
それはさておき、なかなかお洒落にまとまったのではと悦に入っております。