かわむらの
日々

九月も終盤を迎え、少しは涼しさを感じられるようになってきました。最近の気候では春と秋を感じる期間が少なくなってきていると言われたりするものですが、今年の秋はどうなるでしょうか。

さて、今日も紹介品は付下げを取り上げます。

こっくりとした深い焦茶の地に吉祥文様の松と笹が浮かびます。フジモトさんが得意にして当店好みの表現法。相方は同じくフジモト制作の塩瀬染九寸帯「鳥獣戯画」です。

一珍での弱い防染力を活かした掠れのある白揚げに、後から彩色と金描きを施したものと推測します。深みのある地色と相まって多層的に映りますね。

付下げをお洒落感覚に、または現代の着用シーンに合う着方として、染帯との組み合わせもおすすめしています。金描きで表した鳥獣戯画。色目といい、描き方と良い、相方と共通点の多い一品です。

シャレもの感覚もありながら、渋めの金が施されることによってセミフォーマル寄りにも向いています。このくらいの雰囲気で出るべき場面が、最近のお出かけには多くなってきているのではないでしょうか。

ハラ文。ウサギの相方をカエルにするか猿にするかの選択です。お好みでどうぞ。

今回も文様的には季節を限定するものではないのですが、なんとなく秋を感じる色や雰囲気を持つ組み合わせを意識してみました。秋のお出かけの際の参考にどうぞ。