かわむらの
日々

帯合わせ

波文を重ねる

割と忙しい日が続いた九月でしたが、今日で最終日です。明日からは十月、本来なら袷に変わる時期ですが、今年の気候ではまだそういうわけには行かなそうですね。叙勲やお茶席などを除けば、その辺りはフレキシブルに考えてもらって良いと思います。体感に合わせて相応しいものを着るということで良いでしょう。九月中に多くの方からいただいた質問に、ここでもお答えしておきます。

前段のお話とは特に関係ありませんが、今日は波文どうしの組み合わせを一例紹介します。

小紋はフジモト制作、九寸名古屋帯はとなみ織物。

白揚げと無線友禅の併用で軽やかに描き上げた小紋。あっさりとしながらリズム感のある表現が好きで選んだものですが、どこにも取り上げることなくここまで来ていました。どんな役割も果たしてくれそうないぶし銀的存在だけに、ついついその存在自体を忘れてしまいがちな存在ということでしょうか。満を持して紹介します。

相方として選んだのが、意匠化された波文を織り出した九寸帯。波文好きなお客様は当店に多く、中でも特に波好きな方から「着物と帯で意匠が被っても良いものだろうか」というお題を与えられました。題材が重なるのはくどさに繋がるので良くないのでしょうが、このようにあっさりとした表現とデザイン化されたものの組み合わせならいかがでしょうかというのが、当店なりの答えです。使われている色にも共通点がありますし、全体としてすっきりと見えるコーディネートになっているのではないでしょうか。

実は当店、こういったモチーフを重ねる組み合わせを時どき確信犯でやっています。呉服屋さんによっては絶対ダメと仰るところもあるようですが、その時々の感覚によってはアリだと考えています。むしろ面白いお題だなと思っていますが、皆さんはいかがでしょうか。

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