かわむらの
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着物

聖香

今日は私たちの仕事における脇役的存在にスポットを当ててみようと思います。

匂い袋機能つき防湿防虫剤、聖香。採用されている店が多いですから、既にご存知の方も多いと思います。

仕立て上がりの着物を納める際に、たとう紙の中に忍ばせます。独特の香りを好まれる方が多く、しかも市販のものではこの香りに出会えないそうですね。あちこち探し回ったが見つからないので、譲ってほしいという声をかけられることも多いです。

防湿防虫の役目もしっかり果たしてくれるので、まさに縁の下の力持ち的な存在ですね。今も日本中のたくさんの家のタンスの中で、人知れず着物を守っていることでしょう。

もうひとつ、いつも感心していることがあります。この聖香を販売しているのは宇治の京扇堂という会社なんですが、ここの営業さんは当店で聖香の在庫がなくなりそうな絶妙なタイミングに必ず現れ、注文を取っていきます。僕が店に入って20年以上経ちますが、聖香に関してはこちらから注文を入れたという記憶がありません。

当店の売れ行きを把握しているわけでもないでしょうし、まさか遠隔操作で監視されてるわけでもないでしょう。逆に電話やネットで済みそうな注文取りを変わらず律儀に続けてくれることにも感心します。ネット注文でも全く困るものではありませんが、もはや職人技とでも呼びたくなるような訪問営業は出来る限り続けてほしいなと思っている自分がいます。

すごくどうでもいいことなんですがね…

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