かわむらの
日々
帯合わせ
手描き小紋と描き疋田染帯
今日も定点観測からスタート。
なんとか正月に滑り込みセーフ、といった感じですね。やはり冬の富士はこうでなくっちゃ。今年は色々なことがイレギュラーでしたから、いつも通りの姿が望めることが余計に有り難く感じます。
正月も近いと言うことで、今日はこんな組み合わせを紹介します。
唐松を飛び柄に配した小紋に、横段取りに疋田文様の塩瀬染帯。ともにフジモトさんの制作です。
二点とも手仕事の跡がよく分かる仕上がりです。唐松小紋の方は全て手描き友禅。型仕事でない証として、一つとて同じ形がありません。
そして、大写しになっているこちらの染帯、この疋田文も型疋田ではなく全て手仕事の描き疋田です。描き疋田の特徴としては、やはり手仕事ならではの非均一性が挙げられます。型を使い精緻に仕上げる型疋田に対し、悪い表現で言えば不揃い、凸凹とした仕上がりになるのですが、そこにこそ味わいというか深みを感じるわけですね。
手を掛けてわざわざ崩したような表現をするなんて非効率だと思う方もいると思いますが、ここがきちんと揃った型疋田だったら、やはり面白味に欠けるんですよね。染織のみならず、伝統工芸の世界では広く共通することじゃないでしょうか。
描かれた題材や表された色合いが、正月周辺のスタイルとしても相応しい感覚に上がりました。今年は開かれないところが多いでしょうが、新年会などの場所にも向く感覚です。