かわむらの
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となみ隆 紹巴袋帯
表題の名前を聞いてピンとくる方も多いでしょう。となみ隆さんは西陣のとなみ織物の現会長の弟にあたり、自身も同社の役職にあった人ですが、ある時から独立して、得意な紹巴技法の特性を活かした帯つくりを続けています。当店とは10年ほど前からご縁ができ、多くのお客様から好評を頂いてきました。
紹巴というのは緯糸が経糸を包むように織る技法で、緯糸のみで文様表現をします。緯糸のみの文様表現という点では綴織とも共通するものがあり、綴と同じく絵画性の高さが大きな特徴になります。
となみさんの帯は上記したような絵画性の高い華やかな柄も多いですが、一方では意表を突いた面白いものも多いのです。今日はそんな一品を紹介します。
一見すると昔からよくある法事用帯のように見えますが、作り手さんからはぜひ普段からお使いいただけるように言われております。よく見ると「夢」の周りには子孫繁栄、商売繁盛、受験合格など、縁起の良い四字熟語が並んでいます。それも、これでもかというくらい織り込まれ、執念のようなものまで感じるくらい。
紹巴の特徴としてもうひとつ、緩みにくく締めやすいことが挙げられます。これは表に出ているのが緯糸で、締める際に交差する緯糸同士の摩擦の大きさに由来するようです。留まりが良いのですね。
加えて、となみ隆さんは使用する糸の質にも大変こだわっていて、しなやかでいて張りのある生地風合いは確かに出色です。だから幅広い使い方をしていただきたいことは確かなのですが、やはり法事用に見えてしまいますかね?
モノトーン系の組み合わせでお洒落に映るよう、また今度試してみようと思います。