かわむらの
日々

着物

キレイめ色の色無地

少しずつではありますが、結婚式を行ったなどという話を聞くようにもなっています。そこに卒業式、入学式シーズンも重なって、しみ抜きや洗いの依頼を持ち込まれることが多くなってきました。皆さんが実際に着物を着てくださっているという証でありますし、非常に喜ばしいことだと思っております。

踊りやお茶会も再開してきているようで、そういった関係からのご注文も増えてきました。先月、誂え染め色無地の提案をしましたが、ちょうど踊りの発表やお茶会の予定があるお客様が多く、よく出ました。

色無地というアイテムは、男性の服で言うとスーツに近い感覚があると思います。スーツ選びでも、最初は基本的な紺やグレーから始まり、数が揃ってくるとだんだん遊びが入ってくるようになるものです。色無地も数を持っているお客様ほど次の需要があるもので、その度に色に遊びが入ってくる傾向があります。

最近上がってきた、あるお客様の色無地。鴬色系の明るい地色が印象的に仕上がりました。見本にした色はもう少し彩度が落ちた感覚でしたが、紋意匠の生地が持つ光沢を加味すればこれくらいの明るさになるだろうと話し合い、狙い通りの色合いに上がりました。何度も色無地を誂えてくださっているお客様ですが、その度に違うお題を与えていただき楽しませていただいています。

この他にも、白地に限りなく近いベージュにとか、大人に合う朱色とか、すごく低い裾ぼかしなど、それぞれに面白いご注文をいただき、悪戦苦闘しつつ具現化に努めました。白生地に無地染は染の仕事のなかで最も基本的なものではありますが、誂えの楽しみは十分に詰まっていますね。自分だけのオリジナルな一着を増やし、お出かけの楽しみをより大きくしていただければと考えています。

 

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