かわむらの
日々

着物

熊も人もコロナ禍

当地では先週から熊の出没が相次ぎ、近隣住民にとっては不安な毎日が続いています。今日ニュースを見ていたら、違う地方では学校の敷地に熊が現れ駆除されたとのこと。調べてみると、熊の出没はここ数年全国的な規模で見られるようですね。様々な理由があるようですが、ソロキャンプの流行で山に食べ物が残されたりと、遠因としてコロナ禍が影響している点も指摘されているようです。

さて、コロナ禍によって変化を余儀なくされている人間社会ですが、私たちの業界にも大いに当てはまりますね。結婚式やお茶席、それから成人式など、着物を必要とする集まりが次々と中止に追い込まれ、本来ならあったはずの需要をかなり失いました。当店の場合は成人式の中止はそんなに影響を受けませんでしたが、結婚式とお茶の喪失は大きかったですね。

代わりに、カジュアルな場面で着られるしゃれ物にお声が掛かる機会は非常に増えました。特に昨年の初夏から夏場にかけては、縮や各産地の綿織物などに人気が集まり、当店もそういったアイテムに注力しました。着物を楽しむという意味において新しい発見があったと言っていただけるお客様も多かったです。

今年も概ねそういった流れが続いている感があります。家で、または近場のちょっとしたお出かけに着ていける気軽な着物の引き合いはとても強いものがあります。

阿波しじら。一部のお客様から要望があり、生地見本で注文取りしていたのですが、好評を頂いたので店頭にも置いてみました。

着てみてその軽さに驚かれる方が多かったですね。浴衣的に着てもよし、単衣から夏の着物として着用してもよし、家着としての気軽さからも喜ばれています。洗えますしね。

気軽なだけでなく、織物として持つ歴史も味わいだと思います。それは他の産地のものにも言えることで、それがコロナ禍の不安を共に過ごす衣装として支持される一因だと思ったりしているのですが、大袈裟ですかね。

当店としては、これからも着る楽しさを出来る限り多くの方に伝えていけるよう努力していきたいです。

 

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